今日は、これまで医師として歩んできた中で、
日々感じてきたことを記してみようと思います。
大学を卒業して医師になった頃は、
ひたすら「修行の日々」でした。
少しでも早く一人前になりたい、
患者さんのお役に立ちたい――
その一心で、先輩の先生方にご指導いただきながら、
医学的知識を学び、経験を積み重ね、
目の前の診療に追われる毎日を過ごしていました。
そうした日々を10年、15年と重ねた頃でしょうか。
ようやく自信を持って診療できるようになり、
同時に「病気そのもの」だけではなく、
「患者さんという一人の人間」
を診られるようになったと感じます。
患者さんの背景や性格、考え方、
置かれている環境や生活の中の問題…。
単に病気を診るだけではなく、
その人の人生の一部に関わらせていただいている――
そう捉えられるようになりました。
すると、
同じ病気でも良くなる方とそうでない方がいる。
同じ薬を使っても効く方と効かない方がいる。
同じ手術をしても、その後の経過は一様ではない。
さらには、同じ方でも
「心の状態」によって病状が変わってしまう。
「科学だけでは説明できない何か」が確かにある――
そう感じるようになりました。
特に「ストレスと深く関係する」
と言われている疾患に携わる中で、
その実感は強まりました。
患者さんの多くが何らかのストレスを抱えていたからです。
そこで私は仮説を立てました。
もしかすると、その“科学では説明できないもの”とは、
「心」や「精神状態」なのではないか、と。
そうした視点で診てみると、
病状は驚くほど心に比例していることに気づきました。
心に余裕がなくなると症状が悪化し、
逆に、自分と向き合い心の問題を解決すると、
自然に症状が改善していく…。
そんなケースを何度も経験しました。
もちろん、エビデンスに基づいた医学は素晴らしいものです。
しかし、それだけでは解決に至らない場合も少なくありません。
「私が30年間医師を続けてきた意味は、
ここにあるのではないか」
そんな思いが強くなっていきました。
病気を治すことが最終目的ではなく、
その人の人生そのものがより豊かになること。
もし病気が「心からのメッセージ」だとしたら、
その声に耳を傾ける必要があるのではないか――。
そう考えるようになった私は、
独学で「心」について学び始めました。
科学的な知見からスピリチュアルな分野まで
幅広く学ぶうちに、点と点がつながり、
人の心と体、そして魂までも含めた
全体像が見えてきたのです。
当初は「目に見えない世界を信じる自分」を、
医師として否定もしました。
しかし今では、この希有な状態こそが、
私が生きる意味なのかもしれないと感じています。
もしかすると、本当の意味で人を助けられるのは、
この融合の中にあるのではないか――。
そう思い至ったとき、私は大きな決断をしました。
「今こそ180度方向転換の舵を切るべきだ」と。
そして現在に至ります。
まだ歩み始めたばかりですが、
自分が生まれてきた意味を確かに感じながら、
これまで生かされてきたことへの感謝を胸に、
これから自分にできる新たな役割=ライトワーク
を始めていこうと思います。